米国ニューメキシコ州の父親宅で週末を過ごしていた14歳少女(テキサス州材在住)が浴槽で感電死しているのが発見された。彼女は入浴中で手には火傷の跡があり浴室の壁のコンセント(wall outlet)に繋がっていたcellphoneが死亡と関連があると当局の発表があった。CBS NEWS / July 11, 2017, 11:33 AM。
国内でもこのニュースは報道され、イギリス(2017、BBC)とロシア(2015、モスクワタイムス)で同様な死亡事故があったと報じられた。当会にもインタビューがあり、当会会員(森山哲)がテレビ朝日スーパーチャンネルで解説(2017-07-14)した。主要なコメントは以下の通り。
1.スマホの充電電流はDC5V、1A近傍である。
2.ACアダプタ(充電器)の出力はDC1A~2.4Aと相当大きい。
3.ACアダプタ(充電器)には制御回路が含まれており過電流が流れないように調整機能を持っている。
4.スマホに不具合が発生、あるいは充電ケーブル(DCプラグ)を水につけると過電流が流れようとするが、ACアダプタ(充電器)の制御回路が電流が流れないように制御する(はずである)。
5.スマホの充電電圧はDC5Vと十分低いので感電の恐れは通常の使用においてはないが、交流分を含んだ直流電流(例えば0.5A)が水中の人体に流れると感電死の恐れは生じる。
6.充電中のスマホを浴槽内で使用して感電死したという米国からの報道である。ACアダプタ(充電器)の電流制御回路が出力電流を抑制出来なかった可能性が推察される。
下図はインタビューの準備中にテレビ局が素早く書き上げたスケッチである。

心室細動の確率はDC-4.1では約5%、DC-4.2では約50%以下、DC-4.3では約50%超過である。
出典:IEC/TS 60479-1:2005 (国内では標準仕様書 TS C 0023-1:2009)
図2 人における直流電流の影響の規約時間/電流領域(TSの図22より)
ACアダプタ(充電器)の出力交流分が多く含まれていると条件は格段に厳しくなる。下図参照。
図3 人における直流電流の影響の規約時間/電流領域(TSの図20より)
当方が所持しているスマホ、タブレットの付属品の充電器(出力はそれぞれ5Vで0.5A、1A、2.4A)と4ポートと5ポートの充電器(出力は5V、5A)各1台にDCプラグや抵抗を接続したものを水道水及び食塩水(3.5%)に浸す実験を行い、オシロスコープ及び電流計を使用し観測したが有意なデータは取得出来なかったことを付記する。
以上