群馬県 県立金山総合公園事故検証委員会 報告書 が公表されました。 2023-06-15

 群馬県立金山総合公園(太田市長手町480)において、公園内に設置された遊具、ふわふわドーム、で2022年8月と9月に4歳と7歳の男児が左上腕を骨折する事故が発生した。ふわふわドームは空気を入れて膨らませた二つの山の上で、子どもが飛び跳ねて遊ぶ遊具で、縦約16メートル、横約11メートル、山が最も高い場所は約1.5メートルである。1993年度に設置され、2016年に更新されている。

ふわふわドーム、読売新聞

 群馬県は事故検証委員会を立ち上げて検証をおこない、2023-06-15に

「県立金山総合公園事故検証委員会 報告書」 (PDF:628KB)
「県立金山総合公園の遊具(ふわふわドーム)に係る群馬県の今後の対応方針について」 (PDF:146KB)

を公表しました。
 本件事故は、遊具に起因する事故ではないとし、コロナ禍で子ども達の体力の低下も要因ではないかと述べたもので、管理体制を整備して子どもがより安全に遊べるよう配慮し、再発防止策を講じるとあります。

 筆者が

・「県立金山総合公園事故検証委員会 報告書」(以下、報告書という。)、
・報告書が安全基準として参照している「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」(平成26 年)(国土交通省)(以下、「国交省指針」という。)
・「遊具の安全に関する規準」(JPFA-SP-S:2014)(一般社団法人日本公園施
設業協会)(以下、「JPFA規準」という。)

を読み比べたところ、遊具に起因する事故ではないと断定するには、余りにも報告書の内容が乏しいことに行きあたりました。

 今回の2件の事故はともに2つの山の谷の部分(鞍部)に着地し、傷害を負ったという共通点があります。また新聞報道(上毛新聞)によると、谷部に着地し硬いものにぶつかったとあります。空気膜構造遊具は下図(JPFA基準より引用)のように空気圧がかかった内膜が山となり、2つの山を覆う外膜があり、2つの山の間には谷部(鞍部)があります。したがって、谷部(鞍部)を覆う外膜の弾力性及び谷部に設置する緩衝材の性能が不足していた可能性が事故の要因として検証事項になります。しかし、国交省指針とJPFA基準には、谷部の安全に関する構造的/数値的あるいは機能的/定性的な要求はありません。JPFA基準に谷部に関する安全要求がないことを検証委員会は疑問に思われなかったのでしょうか。検証委員会が、本件ふわふわ遊具が谷部に着地した子どもをどのように保護しているのかを検証されたのか不明です。 ふわふわドームの構造、JPFA 図5.13.1.1(1)より引用

 ふわふわドームは、人気の高い遊具である一方、骨折など傷害が相当数発生していることでも知られています。遊具の使用者にとって本件事故の報告書はとても貴重な情報となり、遊具の設置者/管理者には、同様な事故の再発を未然に防止するために基礎的で有益な情報であって欲しいと期待するのは筆者だけではないでしょう。

報告書(ページ番号、条項、内容)への疑問点を下記に示します。まだ書きかけです。中途であること、ご容赦下さい。

1.p.2 専門家6名はどのような専門性をお持ちなのか、所属団体名あるいは経歴を許せる範囲で公表願いたいし、また、遊具メーカーあるいはJPFAの参加があったのかは示すべきでしょう。

2.p.2 委員長は6名のうち、どなたであったのでしょうか。

3. p.3 ふわふわドームの概要:
 寸法と形状の情報、外膜と内幕の寸法はおよび空気圧とその管理状況は検証には欠かせません。
メーカー名と型番は、検証には不可欠の情報です。

4. (2)ふわふわドームの設置状況
 遊具の監視人を置いていたか不明です。対象年齢は6歳から12歳としているが、事故にあった子どもの一人は4歳児である。ふわふわドームは大きな滑り台のように子どもには映りますし、魅力的です。
 年齢制限は案内板に表示しただけであったでしょうか。「小さいお子様」との表示があるが、6歳未満の子どもの使用を暗黙の了解としていたようにおもえます。

5. 案内看板
 「④まわりの砂場では砂遊びをしないでください。」とありますが、砂の厚みは何センチであったのか。どの程度の間隔で砂をときほぐし、補充していたのか。砂は、管理にとても手間がかかることから適切では無いように思えます。

6. リスクとハザード
国交省指針のリスクとハザードは、国交省独自の用語の定義の説明であり、性能jや構造の規定ではないので、適合しているとの記述は理解できません。

7. JPFA基準(1)
落下高さの基準は対象年齢は6歳から12歳とすると3,000mm以下である。ふわふわドームでは、外膜と内幕があり、落下高さの測定は外膜のどの場所から行うのでしょうか。また測定箇所とその値が示されていないので、適合しているかどうか分かりません。外膜がありますので、落下高さが2,000mmあるいは3,000mmになるとはとても考え難いのです。JPFA基準 表4.3.1の誤りかとも思えます。

8. JPFA基準(2)
接線勾配の27°以下は滑り台の傾斜角度

(書きかけ中です。)